まぼろしの店考

 

小学校に行く道すがら、かたつむりをつかまえたり、

水たまりで遊んだりと…のどかな田舎の小学生だった

私は、もちろん帰りも寄り道をしていました。

 

今でもよく思い出すのは、一軒の文房具屋さんです。

 

入口も狭くて、かがんで入るようなつくりでした。

文房具屋と記すのがはばかられるほど不思議な店内で

、薄暗く…裸電球がぶら下がっていて文具の品数も驚

くほど少ないのです。

しかしながら、少ないながらも文具好きの心を掴む品

揃えで、まるで文房具のセレクトショップのようでし

た。

一般的な文房具屋さんはごちゃごちゃカラフルですが

そのお店は、平たいテーブルにぶっきらぼうに商品が

置いてあるだけなのです。

 

去年実家に帰った時も、そのお店で買った「チョコレ

ートのにおい付きの消しゴム」(かたちもアーモンド

入りの板チョコ!)があったので、夢ではないと思い

ます。

このお店を憶えている人がいてほしいです。